飲食店営業許可は、正式には「食品営業許可」といい。食品衛生法によって許可の要件や基準が定められています。
許可要件、許可基準は大別すると
- 人的要件
- 設備基準
があります。
ここでは、押さえておかなければいけない事柄を説明します。
Contents
人的要件
欠格事由に該当しないこと
飲食店営業に関する法律として「食品衛生法」があります。
この法律には、許可を与えないことができる場合として、「人的欠格事由」が規定されています。
注意すべきは、会社名義で許可申請をする場合、役員の中に一人でも欠格事由に該当する人がいると、この会社で飲食店営業の許可を取得できません。
さらに、この会社名義では飲食店営業許可が取れないことで、キャバクラ、ホストクラブなどの風俗営業許可取得やガールズバー、スナックなどの深夜における酒類提供飲食店営業の届出もできません。
以下の欠格事由に該当しないこと。
・食品衛生法又は同法に基づく処分に違反して刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過していないこと。
・食品衛生法第54条から第56条までの規定により許可を取り消され、その取り消しの日から起算して2年を経過していないこと。
・法人であって、その業務を行う役員のうちに上記のいずれかに該当する者があるもの。
食品衛生責任者を選任する
営業者は、施設又はその部門ごとに、食品衛生に関する責任者(食品衛生責任者)を定めることとなっています。
食品衛生責任者は、栄養士、調理師などの資格者がなることができます。
また、資格者がいない場合、店長、厨房スタッフ等が食品衛生責任者養成講習を受講し修了すれば、衛生責任者になることができます。
養成講習会は一日で修了します。受講申込みは早めにした方が良いでしょう。
講習会は、外国籍の人も受講できますし、受講修了すれば、衛生責任者になることができます。
営業施設の設備基準
営業施設は、条例で構造設備の基準が決められています。(千葉県の場合)
主な基準は下記のとおりです。
調理場と客席の区画
調理場は客席などの他の施設と壁や扉などで、区画されていることが必要。
調理場の出入口に、ドアやスイングドア(ウエスタンドア)を設置して境を区切らなければいけません。
スイングドアは白木の板のままではダメなので、ニスを塗る等水を吸わないように処理すること。
居抜き物件では、このスイングドアが出入りの邪魔という理由で撤去されていることがあるので、ドアがついているのか確認が必要です。
天井・内壁・床の平滑性と耐水性
天井は清掃がしやすい材質及び構造でなければいけません。
調理場の天井は、配管ダクト等が露出せず清掃しやすい状態にすること。
内壁・床は清掃が容易な構造(でこぼこな壁は不可)で、作業や清掃に水を使用する場合、床から1メートルの高さまで耐水性であること。また排水がしやすいこと。
洗浄設備(シンク・流し)
原材料や食器等を洗浄するための流水式洗浄設備(シンク・流し)があること。飲食店営業の場合は2槽以上が必要です。
自動洗浄設備は1槽として認められていません。
洗浄施設(手洗い)
従業員専用の流水式手洗い設備及び手指の消毒設備をつけること。
大きさは肘まで洗えるものが必要。
L30(エル30)相当のもの。概ね410mm×320mm以上
手指の消毒設備(みどり色の液体せっけん)は固定されていること。
市販の殺菌・消毒のポンプ式のものでも良いとされる場合もあります。
客用のトイレにも洗浄設備が必要です。L30相当のもの。
ただし、従業員用と同程度の設備は求められません。
保管設備(扉付きの食器棚の設置)
グラスや皿などを収納するのに容量が十分あること。
また、食器類は扉付きの食器戸棚に収納すること。
居抜き物件では、使い勝手が良いからと、扉を外している場合があるので注意して下さい。
給湯器の設置
お湯がでること。検査時には必ずお湯が出るかチェックします。
居抜き物件では、ガス栓の開栓を忘れずにガス事業者に連絡しておいて下さい。
冷凍・冷蔵庫等の設置
冷凍庫、冷蔵庫等には温度計を備えること。
コールドテーブルは初めから温度計が付いていますが、市販の冷蔵庫を置く場合は温度計を備え付けること。(この場合各室に1個必要です)
その他
ふた付きの廃棄物容器(ゴミ箱)の設置
清掃用具収納場所があること
窓などには、ねずみ・昆虫等の侵入を防止する網戸等を設置
換気口には防虫・防塵のためのシャッター等をつけること。
法律改正による設備基準の変更
令和3年6月1日より改正食品衛生法が施行されました。
設備の許可基準も変更になりました。
最新の情報はこちら→【千葉最新版】飲食店営業許可申請 変更点
まとめ
スケルトンで店舗を借りる場合は、設計図面を持参して保健所の事前相談を受けると安心です。
水回りや設備の不備などがあれば、許可がとれず、飲食店の開業が遅れ、カラ家賃、カラ人件費が嵩むことになります。
しかし、飲食店営業の許可は設備基準等を理解すれば、それほど難しい申請手続きではありません。
むしろ、開業前の何かと忙しいときに、保健所へ事前相談等で通わなければならない手間のかかる面倒な手続きです。
ここで説明した事柄を理解し、早め早めの行動があなたを成功に導きます。