ガールズバーが年少者(満十八歳未満の者)雇用で摘発され、経営者が逮捕されたとの報道が新聞やテレビで報じられることが、ままあります。
経営者側には、客の入りがよくなり利益が得やすい、雇われる側にとっては時給が高いので働きたい、との思いがあり、警察の取り締まりがあってもなかなかこの問題は無くなりません。
そこで、風俗営業者にとって無関心では済まされない、未成年者に関する規制はどうなっているのか、そしてどのような法違反とされているのかを見てみましょう。
風営法第1条の目的には「(略)少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため(略)」とあり、この目的を達成するため、風営法ではいろいろと規制を設けています。
また、年少者の雇用に関しては、労働基準法にも規制が設けられています。
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年少者(十八歳未満の者)雇用の是非
風営法22条で風俗営業者に対する禁止行為が定められています。
第22条第1項第3号では、キャバクラやホストクラブなどの風俗営業を営む者に対して、「営業所で十八歳未満の者に客の接待をさせること」を禁止しています。
また、同条同項第4号で、「営業所で午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること」を禁止しています。
ガールズバーなどの深夜酒類提供飲食店に対しては、この条文が準用されています。(風営法32条)
ガールズバーなどで摘発された事例は、おおむね
- 深夜に年少者を働かせたことと
- 客の接待をさせたことが問題とされています。
また摘発事例のお店は風俗営業許可を取っていない場合がほとんどのようです。
労働基準法ではどの様に規制されているかというと
「使用者は、満十八歳に満たない者を午後十時から午前五時までの間において使用してはならない」とあり、原則として年少者の深夜業は禁止されています。
また、年少者に対しては就業に関して制限があり「福祉に有害な場所における業務に就かせてはならない。」とも定めてあります。
年少者を就かせてはならない業務の範囲には、下記のものがあります。
- 酒席に侍する業務
- 特殊の遊興的接客業における業務
「酒席に侍する業務」とは、『酒席において一般に醸し出される慰安歓楽的雰囲気を維持し盛り上げるため客の傍らまたは近くにいる状態』をいいます。
単に酒を運ぶだけなら「酒席に侍する業務」には該当しません。
ですから、一般的な居酒屋の場合は午後十時まで、年少者も働くことができます。
「特殊の遊興的接客業における業務」とは、バー、キャバクラ、クラブ等における接客業務を指すものとされています。
また、客に性的な歓楽を与えることを目的とする接客もここにいう業務に含まれると解されています。
風営法違反でなく、労働基準法違反とされる事例はこの「特殊の遊興的接客業における業務」に該当するとして摘発されています。
過去には、ノーパンの女子高生をウェイトレスとして働かせていた(いわゆるノーパン喫茶)事例が、「客に性的な歓楽を与えることを一つの目的とするものである」とされ、経営者が逮捕されています。
また最近では「JKリフレ」なども、同様に客に性的な歓楽を与えることを目的としているものとされ、この業務に該当するとして、お店の経営者は労働基準法違反で逮捕されています。
年少者は、心身ともに発展途上にあり、判断能力も成人とは異なるため、その健全な育成を損なう恐れがある働き方などには、厳しい規制がかけられています。
風営法の未成年者に関する主な規制
風俗営業許可取得ができない
風営法第4条第1項第8号に「営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者」は、風俗営業許可を取ることができないと定められています。
ただし、営業に関し成年者と同一の行為能力を有している場合や風俗営業者の相続人である場合などの例外もあります。
管理者になることができない
風俗営業者は、営業所ごとに管理者をおけなければならないのですが、風営法
第24条第2項で、未成年者は管理者となることができないとされています。
十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせることは禁止されている
ただし、ゲームセンターは、時間帯によっては立ち入ることができます。