接待飲食等営業(風俗営業の1号~3号)、特定遊興飲食店営業等の許可申請をする場合あるいは、深夜における酒類提供飲食店営業の届出をする場合、その前段階として保健所の飲食店営業許可を取得(場合によっては申請中でも可)しておく必要があります。正式には「食品営業許可」と言います。
この際に保健所の「食品営業許可証」と所轄警察署に提出する風俗営業許可申請書や営業届出書の提出書類との間に矛盾がないか警察署ではチェックします。
例えば、営業所の名称(店名)が許可証では「スナック富士見」と記載されているにも関わらず、申請書には「富士見」とだけ記載してあれば、警察署では風俗営業許可申請等を受け付けることはしません。
些細なことと思われるかもしれませんが、全く同一でないとダメなのです。
そのほかで、特に注意しなければならないのは、「営業者の氏名」です。
飲食店営業をB会社の代表取締役A名義の個人名で取得し、風俗営業許可申請等は、B会社名義で申請しても警察では受け付けてもらえません。同一人物だからという言い訳は通じません。
この様なケースでは、飲食店営業許可の取り直しになってしまい、思わぬ費用がかかるだけでなく、開業するまでの時間が更に遅くなります。
保健所はこのようなケースでの「営業者の氏名」の書き換えは応じていません。
まずは保健所の飲食店営業許可取得の手順を確認!
大まかな手順は
① 保健所で事前相談(必須ではないですが、相談しておけばその後がスムーズに進むので安心)
② 申請
③ 保健所担当者による営業所検査
④ 許可
となりますが、自分自身で許可を取得する場合は③検査がちょっと厄介です。
しかし、担当者による検査項目を知っていれば、それほど難しくはありません。
再検査とならないように設備基準をまずは理解することです。
検査で問題がない場合、検査日の翌日から営業はできます。
許可証のできあがりの日時は、各保健所により多少異なります。
許可証は営業所内の見やすい場所に掲示しなければなりません。
申請から許可までの要点
「どこで」、「だれが」、「どの様なお店を」開業するのかを決めた段階で保健所に事前相談に行くことが許可取得の早道です。
この時点で、申請書類の書き方の不明点や疑問点を解消できます。
営業者は、施設又はその部門ごとに、食品衛生に関する責任者(食品衛生責任者)を定めることとなっています。
食品衛生責任者には、栄養士、調理師などの資格者はなることができます。
調理師免許を持っていない場合や「食品衛生責任者」になる資格を持っていない場合には、食品衛生責任者養成講習を受けて資格を持つ必要があります。
この講習会の実施日時等も教えてもらい、受講しておきましょう。
修了証があれば、食品衛生責任者になることができます。
また、保健所は、店舗検査でよくある指摘事項や開業予定地域の一般的な注意点も教えてくれます。
地域によっては水道水でなく井戸水を使用しているため、「水質検査」を受けなければなりません。
井戸の業者、塩素減菌機の設置業者や家主などに1年以内に検査済みかを確認してみて下さい。
新たに検査を受ける場合は、検査機関を保健所で教えてくれます。
この水質検査には、時間と費用がかかるので、早めに準備することです。
調理従事者全員(パート、アルバイトを含む)が、検便による腸内細菌検査(腸管出血性大腸菌0157)を済ませておきましょう。
検便容器の購入先、検査機関等は保健所で確認するといいでしょう。
設備の基準
調理場の設備基準
天井・壁・床は平滑で耐水性が必要
基本シンク(流し)は2槽以上必要
手洗い設備(殺菌・消毒液の設置)
冷蔵・冷凍庫に温度計を設置(各室に一つ)
食器戸棚の設置
客室と調理場との区画戸の設置
窓があれば網戸を設置
換気扇には防虫措置
ふた付き廃棄物容器(ごみ箱)の設置
給湯器の設置
など
トイレの設備基準
お客様用トイレにも手洗い設備は必要です。
ここにも消毒液を備え付けます。
手洗いの大きさは、調理場内の手洗いに比べ比較的緩やかな取扱いです。
手洗いがお洒落で機能的なものを設置しているお店も増えています。
申請に必要な書類
営業許可申請書
・設備の大綱
・施設(店舗)図面~調理場営業施設全体の平面図
・店舗周辺略図~目標となる建物などを明記する
食品衛生責任者設置届
資格を証明する書類(調理師免許証や食品衛生講習会の修了証)の原本と写し
水道水以外を使用する場合(井戸水)
・水質検査成績書(1年以内に発行されたもの)
法人の場合
・会社の全部事項証明書(登記簿謄本)の提示を求められます。
保健所によっては、写しまで求められます。
調理従事者全員(パート、アルバイトを含む)の検便成績書の写し
(腸管出血性大腸菌0157)
申請書の書き方
申請にあたって注意すべき点は
①会社名義でする申請は、会社の事業目的欄に「飲食店営業」が記載されていること。
②以下の人的欠格事由にあたる者でないこと。
・飲食店営業に関する法律(食品衛生法)等に違反して刑に処せられた場合は刑の執行が終わり、又は執行されなくなった日から2年を経過していない者。
・許可の取消し処分を受けた場合、取消しの日から2年を経過していない者。
会社名義でする申請は、役員の中に一人でも「人的欠格事由」にあてはまる者がいないことを確認して下さい。
こちらの「ゼロからわかる飲食店営業許可基準」も参照して下さい。