ゲームセンターやパチンコ店は、かなりの開業資金がかかるため、風俗営業許可取得の可能性については、とても慎重にならざるをえない。
開業するまでに億単位のお金が、必要なのだから慎重になって当然だ。間違えました、勘違いでしたなんてことになったら、目も当てられないだろう。
許可要件の1つである、場所の問題。
この用途地域・営業制限地域について、そして特に保全対象施設の有る無しについては、かなり気を使わなければならない。
千葉で昔、ライバル会社がパチンコ店開業予定地の近くに診療所を設け開業妨害をしたところ、やり返されてお互いが、何年間も開業できなかったと聞いたこともある。
不動産業者の持ち込み案件など開業候補地が見つかると、まずは自社で調査をするが、契約の最終決定段階の前になると、よく相談や調査依頼を受ける。
そんな中、ある会社の店舗開発担当者から、受けた相談が「公園は風営法の保全対象施設に該当するのか?」というものだった。
細かなことだが、大事なことでもあるから説明しよう。
まずは、風営法から順番に見ていくことにしよう。
営業制限地域とは何か
堅い話になるが、風営法第4条に「許可の基準」が定められている。
第2項に「営業所が、良好な風俗環境を保全するため~(略)~設置を制限する~(略)~必要があるものとして~(略)~都道府県の条例で定める地域内にあるとき。」とある。
これが、おおもとになり、都道府県ごとに条例が定められているのだ。
そのため条例を確認しなければ、許可が出る場所なのかどうかが、わからない。
千葉県の場合は、大雑把に説明すると、都市計画法が規定する住居系の用途地域は制限されていて許可は出ない。
よく聞かれるが準住居地域も、もちろんダメだ。
この用途地域の制限は、よく勘違いで聞かれるが、風俗営業の「許可」が必要な営業と「届出」で済む「深夜における酒類提供飲食営業」とは異なる。
「深夜酒類提供飲食店」も見てほしい。
店舗予定地がある各市町村の都市計画課に問い合わせれば、用途地域は教えてもらえる。
ここまでは、それほど難しいことではないだろう。
保全対象施設とは何か
用途地域が、商業地域、準商業地域、準工業地域等になっている場所は、とりあえず制限地域ではない。だが、ここで終わりではない、まだ第一段階なのだ。
次にクリアーしなければならないのが、保全対象施設が「あるのか、ないのか」ということになる。ここで、営業所との距離の問題が出てくる。
学校、図書館、児童福祉施設、病院及び診療所などが、保全対象施設といわれるもので、それらの敷地から一定以内の地域では、許可が出ないこととなっている。
制限距離の詳細は、条例で定められているため、都道府県ごとに異なっている。
また、保全対象施設についても少し異なっている。
よくわかる保全対象施設の具体例も見てほしい。
どうやって調査をすればよいのか
調査依頼を受けたときには、用途地域の確認、調査対象地の確定、現地調査、官公庁聞き取り調査などを実施して、当然間違いが起きないようにしなければいけない。
調査対象地の確定
まず初めに、調査対象地が曖昧なままでは、先に進めないので、法務局において土地の全部事項証明書(登記簿謄本)と公図を取り寄せます。
パチンコ店の候補地などは、土地が何筆にも分かれていることがあるので、漏れがないように注意し全ての登記簿謄本を取って下さい。
次に用途地域の確認を都市計画課で行います。千葉市は住所で良いのですが、市町村によっては、地番でないと、用途地域の証明書が発行されません。
(千葉県内では一部市町村では用途地域証明書がありません。)
公図(こうず)は土地の境界等を確定するための地図なのですが、測量の誤りを含んだままのものや、公図に記載された内容が実際の土地の位置や形状が違っているものもあります。
そこで、どこまでが正確に調査対象の土地の境が不明のことも、ままあるので周りの土地の分まで、取り寄せて確認するほうが確実でしょう。
現地調査
日々開業候補地の周りの環境は変化していますから、地図(ゼンリンの住宅地図が便利)を参考にしながら現地を実際に歩いて調査をします。
開業候補地の周辺100m区域を歩き、一つ一つの建物や施設が、学校や病院等でないことを確かめます。
千葉県の場合は、商業地域であれば学校(大学を除く)、保育所の敷地から70m以上、大学、図書館、児童福祉施設、病院、診療所(有床のものに限る)は50m以上離れていなければなりません。
近隣商業地域、工業地域等だと、学校(大学を除く)、保育所の敷地から100m以上と大学、図書館、児童福祉施設、病院、診療所(有床のものに限る)は70m以上とすこし厳しくなります。
官公庁聞き取り調査
以前、パチンコ店開業候補地の調査で、千葉県内に東京都内の幼稚園が所有する夏期だけ使用する保養所があり其処が
都市部では、大学のサテライト教室というものが、商業ビルの一室に入っていることがあります。大学の施設として届けられている教室かどうかは、学事課等に問い合わせる必要があります。